君は僕のもの
空き教室に入ったものの、しばらくの沈黙。
…何か言おう、そう思って口を開いた時、
「…あのさぁ、
まぁ、…ごめん」
樹らしいと言えば樹らしい。
続けてあたしも謝ろうとした時、顔を見ることができなくて下を向く。
「…ごめん、ね」
でも下を向いたままじゃいけない、…ゆっくりと顔を上げてあたしはそう言った。
「…嫌だったの、樹がそんなの出るって聞いて、」
泣かないように頑張っても、やっぱりもう泣きそうで、
すると樹の腕が伸びてあたしに近付いてくる、…このまま抱きしめてもらえたら…
―ガラガラッ!
「…樹、行くよーっ!!
って、…お取り込み中でしたか…っ?」
「…間が悪いんだよ、お前」
その瞬間に樹の手は止まって、その手はあたしに触れることもなく元に戻っていった。
「…後でね、」
樹はそう言って翔太くんと一緒に教室から出ていってしまった。
やっぱり…
遠いよ、遠すぎる。
好きにならなかったら…、付き合わなかったら、
きっとこんな気持ち知らなかったな。