君は僕のもの
「うっわーっ、たくさんいるねぇ…」
「全校生徒だから当たり前でしょ?」
呑気にそんなことを言うあたしに突っ込む美菜。
…あのステージの上に樹が立つのかなぁ、
そう思うと何だかよく分からないような感覚になる。
「…あっ、何かもう始まるってるみたいよっ」
何故か意気込んで言う美菜。
腕を握る美菜の手にギュッと力が入る。
「…始まってるかぁ、」
そう言って無意識にも肩が下がるあたしを励ますように美菜の手が肩に触れた。
優しいなぁ、…美菜は本当。
『さぁーっ!!
一年生から出場者を発表しま~す!』
そんな司会者の声が聞こえてきて体育館内はより一層盛り上がってくる。
…一年生ってことは、
「矢上出るね…、ってアレ…っ?」
『そうだね』って言おうとしたのに、突然聞こえた美菜の焦ったような声、
…っ?
美菜が見ているその方向には…
「…樹の隣に、…翔太くんっ!?」
えっ?
横を見れば凄い剣幕でステージを睨みつける美菜。
「…あたし、知らないんだけど…」