君は僕のもの
「…知らなかったのっ??」
「うん、…超ムカつくんだけど!
…愛梨の気持ちがめちゃくちゃ分かるわっ」
美菜はそう言って近くにある生徒用の椅子に座った。
『………次は三組の矢上樹くんと神楽翔太くんですっ!!』
マイクを持った生徒会の女の子がそう言って、樹と翔太くんを紹介する。
…相変わらず得意げにしている翔太くんと、
それに対照的な態度の樹。
『えーと、まず矢上くんは…、学年に関わらずに絶大な支持を得ていて、今回のコンテストでは学年1位だけではなくて全体の優勝も噂されていますよねっ』
上手くそう喋ると、マイクを樹に向ける。
「……どうも、」
無表情でそう言うと、その瞬間に体育館内の女の子達はキャーキャー言って手をパチパチと叩いていた。
人気なんだなぁ…、
そう思うと何だか無性に切ない気持になった。
隣を見るとブスッとした表情でステージを見る美菜。
「…ヘラヘラしてるし、
どうせ翔太が優勝できるわけないんだから」
いつもの癖で足を組みながらそう言う。
結局、翔太くんにマイクが向けられた時は『美菜ちゃんが大好きなんです~』と、とてつもない事を言って見せたわけで…、
まぁ、それで美菜の表情も機嫌も元の戻ったのは言うまでもないけど。
全学年の紹介が終わって、そのまま審査の時間になった。
…ここまで本格的なんだ、
最初は嫌だ嫌だって思ってたのに…
今ではそのシステムに感動している自分がいたりいなかったり。
『……審査の結果が出ましたぁ!』
突然聞こえた声に思わずあたしも美菜もビクッと身体を震わせた。
「…一年は矢上でしょ?」
当然だというような感じで美菜はそう言う。
「やっぱ、…そうなのかなぁ、」