君は僕のもの
「…あの子も先輩んとこ行ってたし…
大丈夫だよっ」
美菜はステージの方に視線を向けて、何かと思って見てみると…
ステージの下にいるあの子にステージの上にいる秋山先輩が笑い掛けているのが見えた。
…秋山先輩ってあんな表情するんだ。
『…1年生で第2位!本当におめでとうございます!
この気持ちを…、誰に?』
あのマイクを持った女の子がそんな質問を樹にした。
…樹はきっと答えないでしょ、
そう思っていると、その女の子が持っていたマイクを手に取って…
「…大切な人に?」
樹の言葉に体育館の中はザワザワとしだす。
もちろんあたしの心の中も。
大切の人…、?
『それは…、彼女さんですか?』
「そうです」
先輩の女の人達から悲鳴が聞こえて、
…それよりも、その樹の言葉に胸が熱くなってきた。
あの樹がこんな人前で…?
「…矢上やるね~」
隣であたしを突くようにしてニヤニヤ笑うと『ホラッ』っとまたあたしの肩を押す。
…行って来いってこと、?
そう思ってそのまま立ち上がる、美菜の方を向く。
「そうじゃなくて…っ」
さっきよりも笑いながら美菜が言う。
…?
美菜は何が言いたいの…?
気が付けば周りにいる人たちの視線があたしに注がれる。
えっ…?
すると突然、
「…きゃっ!」
…誰かに後ろから抱きしめられた。