君は僕のもの
“矢上が他の女と一緒にいたらどう思う?”
何であたしは、困るって思ったんだろう。
“好きだから困る”
好きだから…?
他の女の子と一緒にいてほしくないのは何で?
…あーぁ、
こんなことあるわけないって思ってたのに、どんなことがあったとしても…、樹だけは無いって。
そして、あたしは気が付いてしまった、
昔からずっと一緒にいたのも、きっと心のどこかでこんな想いがあったからだ。
気付かないフリして…
そう、あたしは樹のことが、
樹のことが…
「…んっ、」
「あっ!?…樹、起きた?」
あたしはいきなりした樹の声にハッとして一瞬だけ、体をビクッとさせた。
「起きた…、
つか、お前さぁ、遅すぎんだよ」
樹はそう言って眠たそうに眼を擦ると、あたしのことを睨みつけた。
「でも…っ、さ?
樹、帰るって言って、帰っちゃったじゃないっ」
つかさずあたしがそう言うと、樹は少しだけ不機嫌そうに目を逸らした。
「…本当に帰った方が良かったわけ?」
更に機嫌をわるくして樹が言うので、もう聞くのはやめることにした。
だってあんまり樹を怒らせると、…ね?
「ううん…、ありがとうっ」
あたしは、笑って樹にそう言った。