君は僕のもの
「せっかくたくさん持ってきたのに…」
またボソボソ何か言ってるよ、
頭を少しずらして、チラッと愛梨の顔を見る。
…想像した通りの顔で何となく無意識に顔が緩むのが分かって、それを抑えるようにいつもの俺に戻る。
「それ、甘いんでしょ?」
いきなり俺が話し掛けたから、少しだけ驚いて、
「…そっかっ、樹は甘いの苦手だったよね、
んー、じゃぁこれは?」
そう言って、愛梨は動物の形のビスケットを俺に差し出した。
「何?これ、」
「ビスケット、だよ?
…ちょっとしか甘くないしさっ!!」
嬉しそうにガッツポーズ。
何故、ガッツポーズ…?
でも…まぁ一つくらいなら…、と思って。
「一つだけな」
愛梨が持ってる袋の中から、一つだけビスケットを取り出した。
「あっ!!
これ、うさぎだねっ」
「うさぎかよ
…つか、すっげぇ甘っ」
「え~?…そんなに甘くないのに」
「甘いから、」
やっぱり愛梨の好きなようなものは、甘いものばっかりで…
俺は持っていたお茶を一気に飲んだ。