君は僕のもの
「お昼食べ行こ~っ」
それから美菜はあたしにあの事を聞いてきたりはしなくて、
きっと気を使ってくれてるんだな…、そんな美菜の優しさが凄く嬉しい。
けど…
それと同じように、ちゃんと本当の気持ちを話せない自分のもどかしさも感じていた。
「うん、行こ行こ…っ!」
そんな思いを抱えながらも、あたし達は屋上に向かった。
「うーんっ!!
いい風だ!ほら、愛梨も愛梨も~」
美菜は笑いながら後ろを振り返る。
「いい風って、何か風に詳しい人みたい!」
クスクスと笑いながら、あたしは美菜の隣まで行くと、一言だけ…
「…ありがとね?」
呟くような小さな声、少しだけ美菜の顔をチラッと見た。
「あたし達の仲じゃんかぁ!
いいんだよ!…そんなの気にすることじゃないからっ
あっ、翔太達きたぁ~」
屋上の扉が開いたと思ったら、そこにはいつもの“二人”がいて。
「……っ…、」
あれからやっぱり前のように樹と“いつも”の会話は出来なかった。
分かってはいたけど出来ないもので。
気にすれば気にするほどに、
言葉も行動も何もかもが空回りしてしまって…
「…ねぇ、コーヒー牛乳
頼んだやつ買ってきた…?」
…コーヒー牛乳?
ん、
あ……っ!
『今日、コーヒー牛乳な』
…そんな言葉を今日の朝に聞いてきたような。
「ごっめ…ん、
わ、忘れてたぁ…、今から買ってくる!」
一階にある購買に向かって反動的に走り出す。
こうゆう事が続いていて胸が痛まないハズがなかったけど…
仕方ないけと言えば、そうなってしまうのかもしれない。