君は僕のもの
もともとあたしが着ていたワイシャツを脱いで、汚れないように丸める。
あー、お母さん怒るな…。
どうしてこんなになったの!?…ってきっと怒って説教されてすぐに元通りってオチなんだろうけど、
借りた、というかそのワイシャツを着てボタンを閉めだした時、
―ガラガラッ!
っ!?
…誰だっ?
何か勢い良く開いた音だからきっと誰か生徒だ。
なんて、またまた勝手に一人で解釈をしてみる。
「おい……っ…」
そう言うと少しずつ“その人”は、近付いてきた。
その声に思わずビクッとして、でもそれよりも頭にあったのはまったく違うことだった。
…い、樹っ?
どうしようっ、何で?!
とりあえず着替えなきゃ…っ!
急いでボタンを閉めようとするが、焦ってうまく出来ない。
シャーッと音を立てて思いっきり開けられたカーテン…
…っあ、
肌蹴たままのワイシャツを着たあたしと、驚いた表情の樹、
…数秒間だけ二人の時間は止まった。