君は僕のもの
「そうだ…、
今日、コーヒー牛乳な」
俺は一言そう言って、愛梨の顔を見た。
「…あ、
…うん!分かったよ」
ちょっと上の空な感じで、愛梨はそう言う。
何か最近、コイツが更におかしくなったような気がする…、
一緒に居ても何か別のこと考えてるような、
それでどこかこう…、
悲しそうな、寂しそうな。苦しそうな…
そんな表情をしているように感じた。
「おーっす!」
教室に着くなり、元気に笑顔で俺に手を振ってくる男。
「おはよう」
自分の席に鞄を置くと、また翔太のいる場所まで行って適当に誰かの椅子に座った。
「…何かあった~?」
ちょっとばかり心配そうな顔をして俺の顔を覗いてくる。
何故かコイツは勘が鋭い。
これはある意味で、何かの才能なんじゃないかな?
よく昔から思っていた。
「アイツさぁ…
何かあったわけ?」
俺がそう言いながら、翔太の顔を見ると。
ちょっと不思議そうな顔をしていて、
あ、…もしかしてこいつ“アイツ”が分からないのか…?
教室の端の方にいる愛梨に視線をずらしてからもう一度だけ翔太の顔を見る。
「あぁっ!…愛ちゃんか!!」
やっぱり…、分からなかったのか。