君は僕のもの
…樹side




この沈黙というか、この状況というか、はっきり言ってどうしたらいいのか分からない俺は、ただ固まるしかなかった。



すると目の前にいる愛梨が、ゴクリと生唾を飲み込んだのが分かる。


…何か言うのか?



その予感は的中し、愛梨は重い沈黙を破った。


「…あの、」

何を言われるのかと思っていれば、

結局コイツの精一杯な言葉はここまでだったらしい。




「お前…、何してんの?」


思わずこう言った時、自分でも何を言ってるんだと思ったけど、



平然を装うにはとりあえずこんな言葉しか思いつかなかった。




一瞬だけ、愛梨が不思議そうな顔をする、



「き、着替えて…、るんです」


…何故、敬語?

それよりさ、お前が着替えてるなんて見りゃ分かるだろ。



「分かってるから、

…つか、まずボタン閉めろ」


分かってると言った後、思わず愛梨の胸元に目がいった。


我ながらやっぱり俺は男なんだな…っ、なんて再確認しながらも愛梨にボタンを閉めるよう言う。




「……っ…、」


少しして、急にこっちを向いた愛梨は何も言わないま下を向きだした。

きっとまた勝手に意識でもしてんだろ。



そう思いつつも俺の頭はもう違うことを考えていた。



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