君は僕のもの
このままじゃ絶対に愛梨から話す事はないだろうと思った俺は、愛梨に話を振る。
「なにされた?」
「別に…、いつも通り?」
何でか知らないけど、笑ってそう言う愛梨に少しだけ苛っとする自分。
…どうして笑うわけ?
愛梨の隣にある丸まったワイシャツを見れば少しばかり泥が付いている。
だからなんとなくは、愛梨が何をされたのかが俺の中で分かった…
「突き飛ばされたわけ?」
そしてその苛々が増すごとに、だんだん俺の態度も変わっているような気もする。
…そう、悪い方向へ。
「そうそうっ
…おかげでドロドロになっちゃったよぉ~」
またヘラヘラ笑いながら愛梨は言う。
どうして笑うの…?
そうやっていつも愛梨は弱い所を見せようとしない。
でも、そんな愛梨に俺は更に苛々していく。
「つか…、コーヒー牛乳は?」
刺々しく、なんとなく口にした言葉。
「あ、突き飛ばされた時に…、落としちゃった」
やっぱり愛梨は、少しばかり笑いながらそう言った。
けど今度は少しバツの悪そうな顔。
辛かったなら辛かったって言って欲しかったし俺に頼って欲しかった。ただそれだけだったのに…
俺のこの“悪い癖”は止まることを知らなかった。