君は僕のもの

素直な言葉

…愛梨Side




「ただいまっ…、」


そう小さく自分にだけに聞こえるような小さな声であたしは言うと、そのまま階段を上がっていった。





“もう、樹とは関わりたくない”


なんでそんな事を言ってしまったんだろう。

こんなのただの自己満足にしか過ぎないのに…。






部屋のカーテンを開くと窓の外、目の前にある閉まったままのカーテンを見つめた。





…こんなに近い距離にあるのに、全く手が届かなくて。


結局は、自分から手を伸ばすのをやめてしまったんだ、あたし。




大体よく考えてみればそうだ。

あんなに顔も整ってて、頭も良くて、スポーツもできて、



そんな男の子が自分の幼馴染だったことだけで奇跡に近い。






…何よりきっと、

幼馴染じゃなかったら、出逢うハズなんてなかった。


樹だってあたしをパシリにすることだってなかったし。…こんな感情も、






これで全てがリセットされた。






ただそれだけのこと。



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