君は僕のもの
え…っ?
何かの間違いじゃないの?
「…ちょ、なに言ってんの美菜」
半笑いで、美菜にそう言った。
だっていくらなんでもこんな話は笑えてしまう。
「あたしは直接、アイツから聞いたわけじゃないんだけど…
翔太が前にそう言ってたの、…それにあたしが見ても矢上は愛梨が好きだったんだと思うよ?」
今更…、今更そんなの。
あたしは口からは言葉が上手く出てこない。
そんな簡単に、出てくるはずがない、
…だってそうでしょ?
こんなの今更聞かされて何が出来るの?…確信とも限らないのに、考えられない。
「今からでも遅くないよ」
心の中がまるで見えているかのように、美菜はあたしにそう言う。
薄らと笑みを浮かべながら。
「…で、でも」
「素直になりなよっ
二人とも、何だかんだそうゆう所そっくり」
さっきよりは、分かりやすい笑顔でそう言うと、美菜はトイレに行くと言って教室から出て行った。
残されて、一人。
…変な感覚の中に堕ちていく。
嘘だ、嘘だ、嘘だ。
そんな言葉が何個も何個も、頭の中に浮かんで、
けど、やっぱりどこかで嬉しさもあって、
だけどやっぱり辛さしかなくて。
今更、ズルい…
下唇を思い切り噛んで、涙が溢れるのを必死に抑える。
…それだけで精一杯だった。