君は僕のもの
結局、一人だけ取り残された俺は自分の席について、ボーっとする。
やっぱり考えるのは愛梨のことばっかで、
俺の席より前の席に座ってる愛梨を見て変な気持ちになってくる。
…あんなに近くに居たのに、今は遠い。
「ねぇっ!
…樹くん何してるの~?」
すると急に目の前に人が来て、俺に話し掛けてくる。
甘ったるい声と甘ったるい香水の匂いがする女、
…何かこういう女が俺は苦手、うん。
つか何してるって。
見て分かるだろ?…何にもしてねぇよ。
「…何もしてないけど」
俺はそっけなくそう答える。
「てゆかさっ!
今日は桐島さんとは一緒じゃないんだねっ」
わざとらしく、俺の机に肘をつくと頬杖をついて俺を上目遣いで見る。
だったら何なんだよ。
「…だから?」
うっとうしい…、今の俺には特に邪魔な感じ。
「結華はね~っ?
樹くんには、桐島さんよりも結華のがいいと思うの!」
…結華?
何かそーいえば見たことあると思ったら、
前に何か一緒に帰った奴か。
「で?」
はっきり言って、お前には何の興味もない。
「…でっ?て、
樹くんさぁ、あたしと付き合って…「無理、悪いけど」」
こういう感じの女が言うことはもう大体は想像できる。
でも、…無理なものは無理だし、つか本当無理。
「なっ?!」
その結華って奴は、急に顔を真っ赤にすると逃げるように教室から飛び出していった。
…あー、
好きでもない女にあんなこと言われたって俺は何とも思わないし、何も感じたりしない。
どうして俺は、…愛梨じゃなきゃダメなんだろう。
こんな一方通行の想いなんて、俺のキャラじゃない、あり得ない。
だけどまだ俺は捨てきれないプライドみたいのがあった。