君は僕のもの
この子、誰だろう…?
でも大体の目的は分かる。
きっと樹のことが好きな子だよね。
告白…?それとも友達になって下さいとかかなぁ?
そんなことばかり考えている自分がいて。
樹は昔からちょっと冷たい所もあったけど…
いつも告白をしてくる女の子の呼び出しにはちゃんと行っていた。…返事はその場ですぐにしてたけど。
あの面倒くさがりな樹が告白をちゃんと受けてるのは樹のさりげない優しさなのかな…?なんて思うこともあった。
「…行って、きなよっ」
いつもこうやってあたしは“良い人”であろうとする。
本当の気持ちは伏せて、自分はどうってことないんだってフリをする癖。…悪い癖、
でも正直いつだって行ってほしくなんかない。
今だって。
…本当は、
けどそんな自分の気持ちを抑えるようにまた元の向きに向き直して歩き出す。
しかし、
―グイッ!
「えっ…?!」
突然、後ろから腕を掴まれたと思うとあたしは樹の胸の中にすっぽり納まっていた。
急な出来事に硬直してしまうあたし。
…ちょっ!
え?…どういうこと?
「…またにしてくれる?
今は、暇じゃないんだよね』
樹は、その子にそう言うと、あたしの腕を引いて歩きだした。
その腕を掴む樹の力は強くて、けどその痛みは何故か嫌なものじゃなかった。