君は僕のもの




美菜の言っていたことが本当なのか。

本心はずっとそれを確かめたかったのかもしれないけど…


本心はずっとその事実を知りたくないと思っている自分もいたのは確かだった。



「…お前さぁ、

なんなの?本当に…、」


するとまた樹の顔は不機嫌になって、

何でそんなこと聞くの?と言いたいような顔をしてあたしを睨みつける。



…でも、

そんなんじゃあたしには何にも伝わらない。


何も分からないままなんだよ、樹。



「分かんないよぉ…っ」


「愛梨はさ、好きじゃない奴にこういうことする?」

『こういうこと』とは何のこと…?


そんなことを思っていると、唇を優しく樹の長い指が撫でて、


…そんな、そんな些細な仕草一つにあたしの胸は反応する。



「…っ、ううん、しないよ?」

あたしは単純なんだ、本当に。


それでいて樹はいつだって余裕な表情ばっかり。



「俺だってそうだよ」


その瞬間に、あたしの胸はもっともっとさっきよりも異常な反応をする。


ホラ、

これだけで今のあたしの心が全部180°変わってしまったみたいに。



でもね、やっぱり『好き』って一言、それだけでいいから言って欲しい…


だけど樹は、そんな簡単にあたしの言って欲しいことなんか言ってなんかくれないんだよ?…だってこの人は樹だもん。




「…好きって、言って?」

樹、…矢上樹。

自己中で我が儘で。自分世界の中心だと思ってそうな奴。



「何で俺が言わなきゃいけないの?」

…ね、?



樹はクスリと優しく笑って、あたしに唇を重ねた。


今度は優しく、甘く。



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