君は僕のもの
「入って…?」
愛梨を見て視線をそのまま家の方に送る。
「…おじゃまします、」
いつも通りに愛梨は言うと、
ゆっくりと玄関に靴を脱いで揃えた。
コイツはいつも昔から他人の家に入る時はちゃんと靴を揃えてる。…そんな所はしっかりしてる、そんな奴。
するとまた面倒なのがリビングから顔を出した、
「いらっしゃーい!!
あっ!今日ね?プリン買って来たのよ~
愛ちゃんおいでっ」
呑気なこといってんじゃねーよ…
なんて心の中で思いながら、一応黙っておく。
「あっ、じゃぁっ「…いいから、つか来て」」
愛梨が面倒なのに引っ掛からない様に俺は言葉を遮った。
愛梨の腕を引いて二階へ向かって行く。
後ろで何か言ってる気がしたけどとりあえず何も聞かないで無視をして、放置。
今はそれどころではないから。
―バタンッ
…部屋のドアを閉めて、少しだけ空気が重くて、
やるしかないと心の中で思った癖して、結局はノープランでここまで愛梨を連れてきてしまったわけで。
顔には出さないけど、焦る心。
「…良かったの?」
そんななか突然愛梨はそう言った。
良かった?…って何が?
お袋のこと無視して二階に上がってきたこと?