君は僕のもの
「…っ、ううん、しないよ?」
愛梨は俺にそう言うと、またキョトンとした表情になる。
…分かって、ない…?
いや、多分きっと…分かってない。
「俺だってそうだよ」
そう言って、唇に触れていた手を頬へ滑らせ。
キスをしようと思っていたら、
「…好きって、言って?」
上目遣いで俺を見上げながらそんなことを言ってくる。
何かムカつく…
んな、顔で見んなよ。…つーか、挑発してんの?
って…、してるわけないよな。
きっと俺の一言でコイツは安心するだろう。…けどこの俺がそこまで言う義務も無いわけだ。
「何で俺が言わなきゃいけないの?」
何だか少しばかり顔が緩んで、触れていただけの頬を優しく撫で、
ゆっくりと唇を重ねた。
…ずっと好きだった。
多分コイツが俺を好きになるずっとずっと前から。
別に嫌いなわけじゃない。
むしろその逆だ。
素直になれなかった、
ただそれだけ。
…でも、これからも、
優しくするつもりは無いよ?
とか言いながら、
無意識に優しくしてるかもしれないけどね。