キミの音を聴きたくて

出会いの季節




桜が舞い、窓から差し込む光が春の訪れを告げる頃。



私にも、春がやってきた。




「そうそう。
いい感じ」



「ありがとうございます」




普段と変わらないはずの、春。



それなのに、どうしてだろう。
こんなにも胸が苦しくなるのは。



どんな季節も代わり映えしなく、全てがモノクロに見えるのは。




きっと私には、この日差しは眩しすぎる。
ただそれだけ。



私が諦めているとか、きっとそういうわけではない。



自分に言い聞かせながら首を振ると、目の前にいた彼に驚かれてしまった。

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