キミの音を聴きたくて
そんなことを考えている間にみんなは前へ進んでいたらしく。
「陽葵ちゃーん、早く早くー」
と呼ぶ日々ちゃんの声が聞こえた。
他のみんなも振り向いて、私を待っている。
────行かなきゃ。
彼女の方へ駆け寄ろうとすると、後ろから手首を掴まれた。
「え……?」
そこにいたのは、天音先輩。
なぜか真剣な目で私を捉えている。
どうして?
疑問だけが私の頭の中に浮かぶ。
「あ、ごめんね。
音中さんのこと、借りてもいいかな?」
そう言いながらみんなの前に歩み寄ると、私の手首をグッと掴みながら綺麗すぎる作り笑いを浮かべる。
突然の生徒会長の登場に驚いたのか、みんなは私に手を振ってそそくさと帰っていった。