キミの音を聴きたくて
秋
繰り返す葛藤
「陽葵!早く起きなさい」
「………」
嫌だ。
何も聞きたくない。
外の音も、誰かの声も、自分の呼吸をする音ですら、聞きたくない。
「今日から学校でしょう?」
学校?
そんなところに行ったら、また天音先輩に会わなきゃならない。
それなら行きたくない。
「休む……」
「何を言っているの?
あなたは、澄恋の分まで生きなきゃダメなのよ!」
ねぇ、どうしてみんな「澄恋」ばっかり。
私は陽葵。
お姉ちゃんの代わりになんてなれないのに。