キミの音を聴きたくて
「……学校、行くから。
私のことは放っておいて」
「陽葵……」
お母さんの悲しげな表情、今までに何度見ただろう。
こうなってしまったからには、私は幸せを望んではいけない。
学校でも息を潜めてひっそりと過ごすんだから。
お母さんだって気づいているだろう。
夏休み中、天音先輩と家で出くわしたときから様子がおかしいことに。
またあの日のことが蘇る。
私は一生あの罪から逃れられない。
この家は音楽一家。
お父さんは作詞作曲家、お母さんはバイオリニスト。
だから当然のようにお姉ちゃんも私も小さい頃から音楽に携わっていた。