キミの音を聴きたくて


事故が起こったのは、お姉ちゃんが信号待ちをしていたときらしい。



車がいきなり歩道に突っ込んできて、かわすことなんてできなかったそうだ。



だからもちろん、お姉ちゃんの不注意なんかではない。




悪いのは、運転手。



『陽葵のせいじゃないよ』って、たくさんの人に言われた。



その度に愛想笑いを浮かべてその場をやり過ごした。




でも、コンクールさえなければ。



私と通話なんてしていなければ。



お姉ちゃんは、今もこの世界で笑っていたかもしれない。





お葬式には、親戚やお姉ちゃんの友達が出席した。



その中で私は、彼と最悪の出会いをする。

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