キミの音を聴きたくて


『俺の大切な人を奪ったお前を、一生許さない』



睨むようにそう言い放った彼の表情は、今まで見た誰よりも冷たかった。



私のお姉ちゃんが選んだ人だ。
本当は誰よりも優しいんだろう。



でも、お姉ちゃんがいない今。
彼の心を照らす存在はないのかもしれない。




────あぁ、私は一生この人からは逃げられない。



彼の大切な人を奪った私は、人殺しだ。



実の家族を死に導いた私に、幸せになる資格なんてない。




『お前は歌い続ける限り、自分の過ちに縛られるんだ』



お姉ちゃんの命を奪ってしまった原因は、私の歌だ。



それなら、私はもう歌わない。



何があっても歌っちゃいけないんだ。

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