キミの音を聴きたくて
「……よし」
学校へ行こう。
このまま逃げ続けるのは、負けたみたいで嫌だ。
思い立ったら急いで制服に着替えて、朝ご飯を口に入れる。
鏡に映った自分の顔は、思っていたより悲惨だった。
天音先輩に嫌われるのは構わないけれど。
天国から見ているお姉ちゃんを悲しませるようなことはしたくない。
決して心は明るくない。
それでも学校へ向けて家のドアを開けた。
もちろん仏壇には目もくれていないけれど。
今日こそは、いい日になりますように、と。
心の中で願いながら。