キミの音を聴きたくて
「理由を教えてくれないかなっ?」
告白していた女子が俯きながら尋ねる。
いつの間にか盗み見ている人も増えている。
理由?
それは、きっと気軽に尋ねていいものではない。
他の人はわからなくても、私は痛いほどわかる。
「俺には、忘れられない大切な人がいるから」
きっと、お姉ちゃんのことだ。
交通事故でお姉ちゃんを亡くしてから、立ち直ったわけではないだろう。
前を向こうと努力しているのに、ふとしたときに思い出してしまう。
それが、残された人の苦しみだ。