キミの音を聴きたくて
先輩が音大に行こうとしないのは。
ピアノを弾くことをやめたのは。
間違いなく、私のせいだ。
その事実は、きっといつになっても変わることはない。
それなら、私が背中を押さなきゃ。
お姉ちゃんのためにも、彼自身のためにも、絶対に行ってほしい。
「今ならまだ間に合うでしょう?
本当は知っているはずです。
自分がただ逃げているだけだってこと」
「……っ」
私だって、お姉ちゃんの死と向き合うことを恐れていた。
現実逃避して、自分の罪から逃げていた。
でも、私のせいで苦しんでいる先輩に出会って気づいたの。
これは、償わなければならないと。
私が向き合うことで変えられるひとつの人生があると。