キミの音を聴きたくて


錦戸くんと付き合ったら、毎日がもっと楽しくなるのかもしれない。



夢のようにキラキラした、華々しい日々が待っているのかもしれない。




けれど、私には……。



どうしても心から離れない人がいる。




────話さなくなってからも、天音先輩への気持ちが……消えない。



芽生えてしまった感情は、そう簡単に消せなかった。




私はお姉ちゃんの彼氏を好きになってしまった。



許されるはずのない恋なのに、こんなにも諦められないなんて。





こんな状態で返事をしても、きっと錦戸くんを困らせるだけだ。



それなら、しっかりと考えて私の意思を彼に伝えよう。



それが、私の辿り着いた答えだった。

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