キミの音を聴きたくて


◇◆◇




「陽葵、話があるの」



「……何?」



帰宅後、どうしてかお母さんに引き止められた。




「夏休みに家に来た、奏汰くんって覚えている?」



「あぁ、うん」




────ドキッ。



まさかお母さんの口から天音先輩の名前が出るなんて。



いろいろな意味でドキッとしてしまった。




「奏汰くん、学校ではどんな感じかわかる?
まだピアノは弾いていないのかしら」



どうして急にこんなことを聞いてきたのかはわからない。



それでも、お母さんも彼を我が子のように気にかけている。



それはきっとお姉ちゃんと付き合い始めたときから変わらないんだと思う。

< 184 / 241 >

この作品をシェア

pagetop