キミの音を聴きたくて


「お姉ちゃん、ごめんね」



私、天音先輩のことが好き。



お姉ちゃんの彼氏なのに、こんな気持ちを抱くなんておかしいと思う。




でも、あの苦しそうな表情とか。



他の人には見せない上から目線なところとか。



いつも余裕そうで、実は優しいところとか。



お姉ちゃんのことを今も想い続けているところとか。




それら全部を、愛しいと思えるの。



彼に伝える気はないけれど。
お姉ちゃんに隠し続けるのは、逃げているみたいで嫌だ。




天音先輩は、どうして私が謝ったのかわからないだろう。



私のせいでお姉ちゃんが事故に遭ってしまったから。



そう思っているはずだ。

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