キミの音を聴きたくて


「せん、ぱ……?
どっ、して……」



いくらお姉ちゃんの妹だとしても。



私を抱きしめるなんて、お姉ちゃんの前でしていいことではない。




そんなこと、先輩もわかっているはずなのに……。



どうしても抵抗できない自分がいる。




「陽葵のことは、俺が守る」




────ドクン。




あぁ、もうダメ。



こんなに優しく扱われたら、錯覚してしまうでしょう?




先輩の想い人が、私なんじゃないか、って。
そんなはずはないのに、期待してしまう。



彼はただ、お姉ちゃんを守れなかった分。
私を見守る、という意味で言っただけなのに。

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