キミの音を聴きたくて
最後に1度だけ
冬休みが明けて、ついに新学期が始まった。
あれから天音先輩に会うことはなかったけれど、毎日のように思い浮かべていた。
そして、会いたいと願っていた。
ついに今日。
私は錦戸くんを呼び出す。
「音中さん」
冬休み前、錦戸くんに告白された。
あのときは『男として見てほしい』と言われて曖昧にしたままだった。
けれど、今の私は違う。
「錦戸くん、ごめんなさい」
目を見て、思いきり頭を下げる。
どうやら彼は慌てているようだ。
もう迷わない。
自分の気持ちに素直でいると、決めたから。