キミの音を聴きたくて
「私、好きな人がいるんです。
だから……」
「それって誰?」
私の言葉を遮って、錦戸くんが尋ねる。
一瞬躊躇ったけれど、もう目を逸らさないと決めたから。
そして何よりも、私のことを好きになってくれた錦戸くんにはまっすぐにぶつかりたい。
「生徒会長の……天音先輩」
この気持ちを、初めて他の人に言った。
誰かに聞いてほしくて。
でも、届かない気持ちが怖くて。
ずっとずっと言えなかった。
言ってみると少しスッキリして、現実味が増した。
叶わない?
そんなことは知っている。
他の人になんて言われようと。
たとえ鼻で笑わたって。
私は、天音先輩のことが好きだ。