キミの音を聴きたくて
彼は、この高校の生徒会長の天音奏汰(あまねかなた)さん。
爽やかな笑顔にかっこよく着こなした制服が似合っていて、いるだけでオーラが溢れ出ているような、そんな人。
私にはとても手の届かないような、そんな遠い存在の人。
キラキラ輝いていて、見るからに学校生活が充実しているんだとわかる。
「……ん?」
私が見ていることに気づいたのか、不思議な顔をして私の方を向く。
その目に、吸い込まれそうになった。
綺麗な瞳をしているのに、そこからは光を感じない。
でも、どこから見ても整った顔をしている。
きっと彼の幸せが外にまでにじみ出て居るんだろう。
そんなの、当たり前だ。
彼女だって普通にいそうだし、なんといっても生徒会長なんだから。
彼はきっと、私とは真逆の世界にいる人。
毎日が楽しくて輝いていて、こんな闇みたいな世界は体験したことがないだだろう。
何も知らない私でも目を逸らせなくなってしまうほどだ。
学校の顔である生徒会長にはピッタリで、私なんかがこの人の隣に並んで歩くなんて無礼なことはできない。