キミの音を聴きたくて
チャイムが鳴ると同時に、教室の席に着く。
でも、これは2時間目終了のチャイムだから、まだクラスメートは誰も来ない。
そう、この空間には私だけ。
危なかった……。
あのまま屋上にいたらどうなっていたことか。
もっと重大なことを尋ねられて、私はきっと狼狽えてしまうだろう。
とにかく、もう彼には関わらないようにしよう。
関わったら最後、またあの不思議な瞳に捕まってしまう。
そう私が決意を固めていた頃、屋上には。
「音中陽葵、か」
そう呟いている彼の姿があった。
思えばこのとき、確かに新しい風は吹き始めていたんだ。