キミの音を聴きたくて
「自分も辛かったのに、向き合ってくれてありがとう。
僕にまた夢を見させてくれてありがとう」
先輩……。
それは、私のことだと思ってもいいですか?
────『お前は歌い続ける限り、自分の過ちに縛られるんだ』
『お前にだけは本性を見せられそうだな』
『澄恋の命日くらい、向き合ってくれよ!』
『お前なら、できるから』
『お前なんて大嫌いだ』
『俺は……音大に行って……っ、ピアニストになりたかった……』
『陽葵のことは、俺が守る』
『お前と─────弾きたい』
天音先輩と過ごした時間は辛くて苦しくて、けれど大好きだった。