キミの音を聴きたくて
また、風が吹く
「陽葵ちゃん、勉強教えてくれる……?」
今にも泣きそうな顔で私に懇願してくるのは、友達の丸山日々(まるやまひび)ちゃん。
日々ちゃんは、高校生になってから初めてできた友達。
入学式が終わった後、私は新入生の言葉をステージに立って話したことで拍手に包ま れた。
担任の先生は優しそうな若い女の先生。
1回も間違えずに言えたこともあり、『素晴らしかったです!』とみんなの前で讃えられた。
でも、クラスメートからは手の届かない存在だと思われてしまったのか、一線引いた状態で話すことが多かった。
そんな中で、私を “ 友達 ” だと思って話しかけてくれたのが、日々ちゃんだ。
大人しめだけれどフワフワしていてかわいくて、ずっと話してみたいと思っていた。
でも、なかなかクラスメートには歩み寄れなくて。
そんな私に『移動教室、一緒に行こ?』って、顔を真っ赤にして話しかけてくれた。