キミの音を聴きたくて


「ったく……かわいくなったな、お前」



────ドクン。



奏汰くんの手が近づいてきて、思わずドキドキしてしまう。



このぬくもりは何年ぶりだろう。



やっぱり彼に頭を撫でられるのは、心臓の奥がくすぐったくなる。




あれから、私の気持ちは変わっていない。



会うことはなかったけれど、ずっとずっと、ずっと好きだった。




「じゃあ、そろそろステージに行くぞ」



そう。



これから私達は、一緒にステージに立つ。




『お互い夢を叶えたら、ステージで会おう』



あの日誓った約束を、実現するときがきた。

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