キミの音を聴きたくて
苦手な先輩
「そんなところで、何しているのかな?」
「げ……」
今は、実際なら音楽の時間。
さっき私を呼びに来た日々ちゃんと錦戸くんには、『音痴だから』という嘘で乗り切って。
今は屋上で絶賛サボり中。
……のはずだった。
「もしかして、また音中さん?」
それなのに、また私の前に現れたのは。
「……会長こそ、またですか」
前回サボっていた日にも遭遇した、生徒会長だった。
ダメだ。
こんな偶然、全く笑えない。
っていうか、これは偶然なんかじゃない気がする。
彼もまた、サボっているなんて……。