キミの音を聴きたくて
「……やっぱり、同じだな」
同じ、って何がですか。
喉まで出かかったその言葉をのみ込む。
この寂しげな表情の裏には一体何が隠されているんだろう。
私にはわからないし、知りたいとも思わない。
ただ、私と同じく何かを抱えているんだということだけはわかった。
「じゃ、行こうか」
慣れた手つきで私の腕を引く天音先輩を振り払って、視線で訴える。
だから、そんな風に気軽に体に触ってほしくないのに。
回りの視線は関係なく、私の体が拒絶している。
「行く、ってどこにですか」
そう言われて気がついた。
目的地も提示されていないのに、私はどうしてここまで来たんだろう。
しっかり考えればわかることだったのに、やっぱり気持ちが乱れているみたいだ。
そんな初歩的なことも考えられなかったなんて。
私にどれだけ余裕がなかったのかが手に取るようにわかってしまう。