キミの音を聴きたくて
「さぁ、ここだよ」
「え……」
休日の街中。
人だかりをかき分けて歩いていくと、着いたのは大きな広場。
そこでは歌う人、踊る人、演奏する人などがいて、さまざまな “ 音楽 ” に触れることができる。
どうしてこんな場所に私をつれて来たの……!
心の中で感情的になりながら、彼を睨みつける。
彼だって音楽には携わりたくないはずなのに。
だから授業をサボっているんでしょう?
それなのにここへ来るなんて、本当にわからない人だ。
そして、それと同時にまた恐怖がよみがえる。
そう、ここは私の思い出の場所。
けれど、もう2度と訪れたくなかった悲しみの場所。
……あぁ、もう頭が痛い。
耳を塞ぎたい。
今はもう色づくことなどない私の世界。
あの頃の世界は、あんなにも輝いていたのに。
今はもう、どんなに願っても戻れない。