キミの音を聴きたくて
「どうして……」
「俺に近づく奴は猫を被った奴ばかりだ。
だから俺も、仮面をつけて接している」
猫?仮面?
いきなりなんの話?
「でも、お前にだけは本性を見せられそうだな」
今だって動揺を隠しきれない。
どうして天音先輩がこの場所を知っているのか。
そして、どうして私も気に入る、だなんて嘘をついたのか。
その理由がどうしてもわからない。
でもきっと、この人は……以前から私のことを知っている。
やっぱり彼のことは苦手。
私の心をどこまで読んでいるのか、わからないから。
心は無表情なのに、無理にでも笑みをつくろうとするところも。
全て計算済みだとでも言うようにフッと笑うところも。
全てが不思議で、奇妙で、大嫌い。
でも、この人は確かに面白い。