キミの音を聴きたくて


「まあまあ、かな」



無難にそう答えたけれど、日々ちゃんはそれどころではなく自分の話を聞いてほしそうにしている。



あからさまに態度に出ていて、やっぱり微笑ましい。




「日々ちゃんは?」



話題を振ると、キラキラと目を輝かせて。




「あのねっ、学年で半分より上だったよ!」



嬉しそうに弾けた顔で笑った。



なんて綺麗な笑みなんだろう。
翳りなんてどこにも見当たらない。





そういえば、と。
入学したばかりの頃に言っていた言葉を思い出す。



『勉強は苦手で、今まで学年での順位は半分以下なんだ』



確か、そう言っていた。



そんな彼女が半分より上の順位をとれたこと。
なんだか自分のことのように嬉しく思える。

< 57 / 241 >

この作品をシェア

pagetop