キミの音を聴きたくて


そして、今は授業中。2時間目の─────音楽の時間。



私はひとり屋上に来ている。



意外にもこの高校の屋上は開放されているらしく、みんなが授業を受けている時間帯はひとりになれる絶好の場所だ。




こんな時間にこんなところで何をしているのか、というと。
もちろん、サボりに決まっている。




自慢じゃないけれど、私は首席入学だった。
だからこそ新入生の言葉を任されたわけだ。



もちろん勉強は平均よりもできる方で、今まではサボったことなんてなかった。




でも今は、熱中できることなんてない。
輝いていた日々はもうない。



あんなにも輝いて、充実していた瞬間は、もう2度と訪れないんだから。



学校が嫌なわけでも、面倒くさいという理由なわけでもない。
あのときは確かに笑っていたのに。




────そう、全てが壊れたあの日までは。

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