キミの音を聴きたくて
縛られる過去
文化祭まで、残り3日。
準備は順調に進んでいる。
私の仕事は、アドバイスをしたり、放課後みんなより少し遅く残って話し合いをしたりするだけ。
みんなをまとめて指示を出したりするのは、全て錦戸くんがしてくれている。
音楽のことについて携わりたくはなかったけれど、何もしないというわけにはいかず。
結局私は作詞をすることになった。
錦戸くんに頼ってばかりで申し訳ないから、せめてこれだけはしなければならない。
もちろん私ひとりで作るわけではないけれど、どうせするなら素晴らしいものを作りたい。
それに、人の意見を聞くことは苦手だから、隣の席の彼にはいつも感謝している。
私は私にできることをするしかない。
「ねぇ、陽葵ちゃんっ」
今日も文化祭準備が終わり、錦戸くんと少し残って疲れ果てて帰ろうとしたとき。
錦戸くんとふたりで学校を出ようとした私の前には、日々ちゃんがいた。