キミの音を聴きたくて
もっと私が、対話能力が高い人だったなら。
もっと私が、つまらない人間じゃなかったなら……。
そんな叶わない夢を考えて自己嫌悪に陥っているのは、いつからだっただろう。
「ははっ、やっぱり音中さんって面白いな」
「え?」
突然聞こえた錦戸くんの言葉に耳を疑う。
今のは、聞き間違いだろうか。
面白い?
そんな要素なんて、ひとつもなかったはずなのに。
「陽葵ちゃんの真面目な受け答えが、逆に面白いんだよー?」
顔を見れば日々ちゃんも笑っているけれど、私にはわからない。
きっと彼らの笑いのツボは、私には理解できないところにあるんだろう。
だって、今の返答のどこに面白い要素があったって言うの?
私の顔を見て、話を合わせているに違いない。
そうは思うけれど。