キミの音を聴きたくて


「日々ちゃん、錦戸くん」



こんなにも、居心地がいいと思ったのは。
私のことを受け入れてくれたのは。
ふたりが初めてだ。



だからこそ、私も恩返しがしたい。
ふたりの期待に応えたい。




「こんな私と一緒にいてくれて、ありがとう」



なぜか伝えたくなってしまった。
自然と感謝の言葉が口から出てくる。



思い立ってすぐに行動に移すようなタイプではないのに。



そうしたのはきっと、私にも友達がいるとふたりが教えてくれたから。




そして。



『お前にだけは、本性を見せられそうだな』



仮面を被った天音先輩が、そんな本音を見せてくれたから。

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