キミの音を聴きたくて
曲が終わり、客席が静かになる。
それとは反対に、私の鼓動は激しくなる。
そして次の瞬間、わっと歓声があがった。
客席に大きなどよめきが溢れる。
良かった……。
私、歌えたんだ。
こんなに大勢の人の前で、また思いを届けられたんだ。
ねぇ、きっと聴いていたよね?
お姉ちゃん─────。
それから3曲を歌いきり、私達のライブは終了。
終わりを告げる爽快感は、心の中を一直線に駆けた。
次々とモチベーションが上がっていった私達は、少ししか合わせていないけれど息がぴったりだったと思う。
最後の方は、きっと見ている人まで巻き込んで盛り上がれていた。
そんな自信が湧いてくるのはどうしてだろうか。
「お疲れ様、陽葵ちゃん!」
舞台裏に戻るとすぐに駆け寄ってきたのは、日々ちゃん。
自分のことのように心配しながら、裏方の仕事をこなしていたらしい。