また、明日。
(爽真side)

俺は毎日、雨の日も台風の日もどんな日も欠かさずに有里の元へ行った。
理由なんてすぐに見つかる、ただ、大好きな有里に会いたかったから。

今日も有里が待つ病室へ向かった。
いつも通りノックをして病室へ入ると、慌てて何かを枕の下に隠した。

「何隠したの?」
「別に何でもないよ!」
「そう?」

それから度々、俺が病室に入ると慌てて何かを隠していたが、言いたくないことなんだろうと思い追求はしなかった。

そんなある日、有里が外の空気が吸いたいと言ったので屋上に向かった。

「んー、外久しぶりだなぁ
3ヶ月ぶりかなー」
「そんなに!?」
「うん!」

本当は外に出たらダメなんじゃないかって考えが頭から離れない。

「外に出て大丈夫なわけ?」
「大丈夫だよ
ねぇ、爽真」
「なに?」

有里の表情が少し変わった。
その表情で大事な話があることくらい分かる。

「あのね、私が死んじゃったらさ」
「そんなこと言わないでよ、縁起でもない」

冗談でもそんな事は言って欲しくない。
有里がいなくなるなんて有り得ない。考えたくもない。

「そうだよね…
でも、もし私が死んじゃったらね
枕の下、見てほしいんだ」
「枕の下?」
「うん」
「わかった、そんな日来ないと思うけどね」

そう言うと有里は困ったように笑った。
そんな日、来なくていいんだよ。一生。

「爽真?」
「え?なに?」

首をかしげて俺を見つめる有里。

「いや、なんかすごい真剣な顔してたからさ」
「あぁ、気にしなくていいよ」
「寒いね」
「そうだね、戻ろうか」
「うん、爽真が風邪なんてひいたら大変だよ」
「俺より有里の方が心配だな」

病室に戻ったあとも渚君は寒いね、なんて言うから心配になり、暖めるように優しく抱きしめると、有里が不思議そうに俺の名前を呼ぶ。

「有里、大好きだよ…」
「私も大好きだよ
急にどうしたの?」
「ただ伝えたかっただけ」
「そうなんだ?」

こんな日が毎日続けばいいのに…

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