純情オレンジ




席替えの時間も終わり、次は数学の時間だ



教科書とノートがあるか確認する



「…あのさ藍澤さん」



少し低いトーンで名前を呼ばれた



「え、どうしたの?」



若干苦笑いぎみの長本さん



「実は…数学の教科書忘れちゃって…あはは」



なんだ教科書忘れたのか



「えっと…他のクラスの友達に貸してもらったらいいと思うけど…」



「それが…絵理香のところは体育でもう移動してて、他の部活友達も移動教室とか同じ数学なんだよねー…」



絵理香さん…ってわからない、誰だろう



というか長本さんだったら誰でもすぐに貸してくれそうだけど



「ってことで、ごめん!教科書見せてくれない?」




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